戦国期龍造寺氏の領国経営と流通ネットワークの研究ー龍造寺関係文書の編年化によるー 1)研究の基本となる資料収集については、刊本である『佐賀県史料集成』全30巻から、龍造寺氏関係文書を抜き出し、編年化する作業を行った。また、それと同時に文書原本との照合作業を実施し、さらに、写真撮影(デジタルカメラ)を行うことを目指した。この龍造寺氏関係文書の編年化の過程で多久家文書の重要性がわかり、16世紀の龍造寺領国における組織的な物資調達の仕組み(龍造寺領国の物資調達は龍造寺長信によって統括されており、その元で御用商人平吉氏が具体的な調達を行った)を解明するをことが出来た。(報告書参照。) 2)肥前国の東部にあって、龍造寺氏と長く対立関係にあった筑紫氏(豊後大友氏・大宰府長官の系譜をもつ少弐氏と連係し龍造寺氏と対立)の動向を追う作業が不可欠であることから、『大宰府・太宰府天満宮史料』(全一七巻)から龍造寺関係・筑紫氏関係・少弐氏関係の文書を抽出する作業を行い、筑紫氏関係文書の編年化を行った。この成果は、『鳥栖市史(中世編)』(H19年度中出版予定)としてまとめることが出来た。 3)16世紀龍造寺領国では伊勢信仰が急速に広がりをみせた。その実態を考察するために、伊勢神宮への参宮人名簿である、天理大学所蔵の橋村家文書(写真)を購入した。鳥栖地域については、解読作業が終了し、この地域では16世紀に街道沿いに成立した「町」、さらに周辺の「村」へ伊勢神宮の御師(おし)が布教活動を行っている事がわかった。今後、流通網の形成と伊勢信仰の拡大化を重ねあわせることで、龍造寺領国の流通ネットワークの特徴をさらに検討出来ると考えている。
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