研究計画初年度の本年度は、奥向史料論を構築するための研究環境の整備を重点的に進め、奥向関係史料の所在や史料類型などの情報をデータベース化して奥向史料データベースを構築することを目的とした。本年度に入力を終えたデータは、次の通りである。 (1)鳥取県立博物館所蔵鳥取池田家史料 266点 (2)国文学研究資料館所蔵松代真田家文書 768点 (3)東京大学史料編纂所所蔵宗家文書 272点 (4)熊本大学寄託永青文庫(細川家) 878点 合計2184点であり、研究計画で目標としていた2000点以上のデータ入力を達成できた。しかも、予想以上に奥向史料が大名史料のなかに伝存していることが判明したので、引き続き来年度も残る大名史料の目録から奥向史料のデータベース化を進めたい。 また、山口県文所館の毛利家文庫の調査では、デジタルカメラによる文書収集をおこなった。同文庫は奥向史料論を構築するうえでの良質な史料群であることが確認できたが、史料収集が不十分であるため、来年度も引き続き調査を行ったのちに、データベース化を進める予定である。また、彦根城博物館でも調査をおこない、デジタルカメラによる文書収集をおこなうとともに、奥向を統括する用人の貴重な日記が膨大に残っていることが確認できた。これについては、同博物館が所蔵するマイクロフィルムを利用させてもらい、写真版を入手した。
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