研究課題
基盤研究(C)
本研究プロジェクトの目的は、S. W. ウィリアムズの息子であるF. W. ウィリアムズが編集した父の伝記およびエール大学スターリング図書館古文書部所蔵の『S. W. ウィリアムズ家族文書』の研究を通じて、日本の開国におけるアメリカ人宣教師S. W. ウィリアムズの役割を明らかにすることにある。研究の結論は次のとおりである。ウィリアムズは、1837年アメリカ人宣教師グループによる日本人難破船員の祖国送還の努力(いわゆる「モリソン号」事件)に加担したこと、首席通訳官としてペリー提督を助け1854年の日米和親条約(神奈川条約ともいう)の締結に貢献したことおよび1858年にいち早くアメリカの新教三団体に日本における布教活動の早期開始を促したことなどによって、日本の物理面での開国および精神面での開国の過程で重要な役割を果たした。そして、幸いなことに、彼は1872年の3度目の来日でこれらの劇的変化の様子をこの目で確認できた。しかし、指摘しておきたいのは、日本の開国は決して孤立的現象ではなく、アヘン戦争後の中国の開国と密接に関連していた、という事実である。すなわちウィリアムズは、1833年マカウに派遣されたアメリカ人宣教師であり、布教活動をしながら漢学者および外交官として中国で約40年の歳月を過ごした。日本の開国に対する彼の貢献は、彼の漢文読解の能力および彼が雇った中国人通訳の漢文作成能力があってはじめて可能になったことである。しかも、上記のアメリカ新教団体への彼の呼びかけも、彼の粘り強い交渉で1858年『米中天津条約』へのキリスト教解禁条文の挿入に成功した直後になされたことであった。研究の成果として、以下で羅列している7本の論文(共著の著書中の論文を含め)および上記の伝記における日本関係部分の訳注を纏めた。その一部はすでに発表されているが、順次全部公表する予定である。
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すべて 雑誌論文 (13件) 図書 (7件)
或問(東西言語文化接触研究会会誌) 第11号
ページ: 129-136
Wakumon (Studies on Cultural and Lingustic Exchanges between China and the West) no.11
Japan Review (Kyoto : International Research Center for Japanese Studies) No. 17
ページ: 91-120
或問(東西言語文化接触研究会会誌) 第9号
ページ: 57-65
Japan Review (The International Center for the Study of Japanese Culture) no.17
Wakumon (Journal of Studies on Cultural and Linguistic Exchanges between China and West, Kansai University) no.9
二十一世紀(香港中文大学) 第82期
ページ: 47-57
東亜文明研究通訊(国立台湾大学) 第6号
ページ: 58-65
The Twenty-first Century (Chinese Univerisity of Hong Kong) no.82
Newsletter for the Study of East Asian Civilizations (National Taiwan University) no.6
Japan and Its Worlds : The Internationalization of Japanese Studies and Marius Jansen. (Martin Collcutt, Ronald Toby, eds.)(Tokyo : International House of Japan.) (Forthcoming)
A Symposium on Western Studies of Chinese Language (Yao Xiaoping, de.)((Beijing University of Foreign Studies Press.) (Forthcoming)
Trans-Pacific Relations : The United States and East Asia in the 19^<th> and Early 20^<th> Centuries (Martin Collcutt, TAO De-min eds.)(University of Toronto Press.) (Forthcoming)