本研究は、戦国末期の西国(中国・四国・九州)における争乱をおもな対象として、その具体的な展開過程や大名の軍事力編成のみならず、兵米良や軍需物資の調達・輸送をふくめた戦争遂行体制、戦争の遂行主体である大名・国人領主の意識、戦時下の在地社会における土豪層および農民層の意識・行動、流通・経済の発展が戦争の目的や展開過程に及ぼした影響など、多角的に考察を加え、戦国期西国における戦争と大名領国支配の特質を明らかにしていくことをその目的に掲げた。 本研究期間中、研究代表者は、該当地域の史料・研究論文等を広範囲に収集して多角的に分析を加え、研究史の再検討を進めてきた。 その結果、依然として多くの地域において、争乱の詳細な展開過程に関して、再検討すべき課題が多く残されていることが明らかとなり、そうした諸課題を個別に洗い直し、再構成していくなかで、各地域における社会構造や経済構造の特質、各大名の領国統治の実態などを浮き彫りにしていけるものとの見通しを立て、各論について個別に詳細な検討を重ねた。 このようにして得られた本研究の成果の一部は、研究最終年度(平成18年度)に「永禄・元亀年間における伊予能島村上氏の政治的動向」(『岐阜工業高等専門学校紀要』42)、ならびに「戦国期但馬国をめぐる諸勢力の動向」(研究成果報告書所載)として取りまとめ、発表した。また、『戦争の日本史12西国の戦国合戦』においても、その成果の一部を反映させることができた。今後なお、続けて数編の論稿を執筆を準備しており、順次公表していく予定である。
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