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2005 年度 実績報告書

植民地後期ジャワ住民煙草産業史研究

研究課題

研究課題/領域番号 16520418
研究機関広島大学

研究代表者

植村 泰夫  広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40127056)

キーワード原料煙草 / ケドゥー / 収益性 / 華人商人 / 前貸し / 手巻き煙草 / スマラン・チェリボン蒸気軌道 / セラユダル蒸気軌道
研究概要

本年度は、ジャワにおける原料煙草栽培に関する歴史的概観を踏まえて、先ず内地市場向け栽培の最大の中心地ケドゥーにおけるその特徴を、20世紀初めの時期を主たる対象にして検討した。その結果、(1)ヨーロッパ市場向け栽培はあくまでも副次的だった、(2)内地市場向けの栽培・加工方式は、基本的に19世紀初から20世紀前半まで変わっていない、(3)それらは稲作と比較して、高い技術水準にあった、(4)ケドゥー内では、畑作煙草地帯で農村経済の煙草依存が特に高かった、(5)米作と比べても煙草栽培の収益は遙かに大きかった、(6)収益性の点では、賃労働者を雇用する大規模経営の方が、小経営より優位に立っていた、(7)収穫・加工された原料煙草の取引は華人商人が独占し、しばしば前貸しが行われていたが、彼らと生産者農民との関係は決して前者の後者に対する一方的支配とはいえず、むしろ後者が相対的に有利な立場にあったこと、などを明らかにした。これらは、裏面に挙げた2本の論文の中で詳述されている。次に、ジャワに於ける内地市場向け煙草の流通経路に関して検討を行った。この作業は現在なお進行中であるが、さしあたり以下の点が明らかになっている。(1)ジャワの製品煙草の中で最大のシェアを占めていたのは手巻き煙草だが、1930年代にシガレットのシェアが拡大し、ストローチェを上回った、(2)原料煙草のジャワ内流通は1910年頃までは中ジャワ内陸部産が北海岸経由で西向きに、レンバン・ポジョネゴロ煙草は東向きという市場分割状況が見られたが、(3)北海岸を走るスマラン・チェリボン蒸気軌道の開通によって西向き輸送が在来輸送手段からこの軌道に移っていった、(4)ケドゥー内の栽培中心地ウォノソボへのセラユダル蒸気軌道開通によって、北海岸経由の西向き輸送が減少した可能性が高い、(5)1910年代後半からのクドゥスを中心としたクレテック・ストローチェ産業の発展によって、ケドゥー煙草が初めて本格的に東向きに流通し始め、それまでの市場分割がケドゥー煙草優位に形で崩れたこと、などである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 植民地後期ケドゥーにおけるヨーロッパ市場向け煙草栽培に関する覚書2005

    • 著者名/発表者名
      植村 泰夫
    • 雑誌名

      広島大学大学院文学研究科論集 65巻

      ページ: 1-19

  • [雑誌論文] 植民地後期ケドゥー一における内地市場向け煙草の生産構造2005

    • 著者名/発表者名
      植村 泰夫
    • 雑誌名

      広島東洋史学報 10号

      ページ: 59-93

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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