研究課題
基盤研究(C)
本研究は、19世紀初頭〜1930年代末の時期のジャワ住民煙草産業を(a)農民の商業的農業としての側面、(b)流通・商業的側面、(c)クレテック煙草産業を中心とした住民工業的側面、(d)住民の消費的側面、の4つから検討することを目的とした。(a)については、中ジャワ山間部とレンバン理事州の事例から、(1)内地市場向けの栽培・加工方式は19世紀初から20世紀前半まで基本的に変わっておらず、(2)それらは輪作形態や施肥、家畜飼育との結合などから見て稲作と比較しても高い技術水準にあった、(3)内地市場向け煙草栽培は概して農家経済にとって有利だったこと、(4)ヨーロッパ市場向け煙草栽培が併存する地域では、農民は市況を見て販売先を切り替えてきたこと、などを明らかにした。(b)では、(1)煙草取引では華人商人が圧倒的優位にあったが、(2)前貸しの存在にもかかわらず、商人が生産者を一方的に支配する関係ではなかった、(3)原料煙草のジャワ内流通は1910年頃までは中ジャワ山間部産が北海岸経由で西向きに、レンバン煙草は東向きという市場分割状況が見られたが、(4)スマラン・チェリボン蒸気軌道などの鉄道開通とクドゥスを中心としたクレテック産業の発展により、ケドゥー煙草が本格的に東に向かい始め、それまでの市場分割が崩れたこと、などが解明された。(c)と(d)については、(1)ジャワでの製品煙草製造開始は1850年代前後だが、本格化は1910年代で、輸入シガレットと現地産シガレット、ストローチェが激しい競争を演じたこと、(2)1930年代には恐慌の影響で高価な輸入シガレットは激減し手作りシガレットとストローチェが激増したが、さらに安価な手巻きシガレット、手巻きストローチェの挑戦をうけたこと、などが明らかになった。以上の諸点の解明は、オランダ国立文書館所蔵の鉄道会社文書の利用によって初めて可能になったものである。
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広島大学大学院文学研究科論集 65
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Hiroshima Journal of Oriental Researches no. 10
The Hiroshima University Studies, Graduate School of Letters vol. 65