研究概要 |
(1)デジタル化された資料の整理 資料総数は、1,570件、図版などから銘文を起こしデジタル化された資料は1,233件あり、これらが分析の基本資料となった。 (2)郷里地図の作製と家系図の図式化 北魏洛陽の墓誌銘には墓主が生前に居住していたと予想できる「里」の具体的名称をみることができる。一般的には「坊制」あるいは「坊里制」と言われるが、孝文帝の洛陽遷都後、都としてり体制作りの基礎とも言うべき制度である。里は一辺が三百歩ほどの正方形の空間であるが、同名の里に複数の墓主が居住してた事実が明らかにできた。また、『洛陽伽藍記』に記載の里から洛陽城内の位置を推定し、「洛陽内城・洛陽外城・洛陽城外・洛陽都郷」等に分類して地図を作成し、位置を推定した。 家系図についても作成を行ったが、墓誌資料を利用して系図が描くことができるのは、北魏時代の「元氏」である。元氏の系列ごとに分類すると約500件の資料を系図に入れることができた。 (3)石刻にみる女性史・婚姻史 石刻資料に見られる女性の記録を整理すると、a女性自身の墓誌b男性の墓誌銘の末に刻まれる妻や女の子供c女性が産んだ女の子供である。この記録には「出身地+姓+未婚又は既婚」等の記録が刻まれる。既婚の場合は、新たに嫁ぎ先の系図に入れることができ、また未婚の場合も、検索をかけると他の氏族に嫁いだことが記録される場合もあり、当時の女性や婚姻の記録を忠実に再現できる。
|