研究課題
チベット仏教を代表する宗派ゲルク派の宗祖ツォンカパ(1357-1419)はあらゆる宗派の哲学を中観帰謬論証派の観点から統合した宗教的天才として知られる。彼の初期の伝記のうちでももっとも成立が古い伝記は、その弟子ケドゥプによって著された『信仰入門』である。本研究はこの伝記の校訂・和訳・研究などの作業を通じて、チベット中世のチベット仏教の具体的な様相を明らかにすることを目標とし、その成果として、同書の訳注を作成することを目指している。ツォンカパの初期の伝記には、『信仰入門』の他にも、ツォンカパ自身の短い自伝、三大弟子の一人ケドゥプ=ゲレーペルサンポ(1385-1438)による二つの伝記、そしてツォンカパとほぼ同年代の弟子ジャムペーギャツォによる伝記の補遺という四っの史料があるため、本年度は、これらの伝記を参照しつつ、中心となる『信仰入門』について、和訳を検討し、校訂テキストを作成した。研究代表者石濱が既に作成していた下訳を元に、研究分担者福田と共同で、不明箇所や難解な箇所を検討し、あるいはツォンカパの仏教思想に関する箇所の資料探索を行い、また訳語の適・不適の検討などを行った。また、特に難読な箇所については、チベット人学僧テンパ・ゲルツェン師に教示をお願いした。文献資料などについて、確認の取れるものについては、出来る限り出典を調べて注記を挙げるようにした。テキスト校訂については、和訳を確認する過程で、ある程度の進展を見ることができた。ツォンカパ自身の思想的な展開についても、伝記資料から読み取れることについて抽出する作業を進めている。今後は、それをツォンカパ自身の著作の中で跡づけていく作業を行う。
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