研究課題/領域番号 |
16520431
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研究機関 | 阪南大学 |
研究代表者 |
山本 謙治 阪南大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (30309372)
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研究分担者 |
来村 多加史 奈良文化女子短期大学, 環境教養学科, 教授 (70390218)
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キーワード | 南朝陵墓 / 陵墓石刻 / 陵墓石獣 / 墓室装飾 / 画像〓 / 南朝文様 / 動植物融合文様 / 精神文化 |
研究概要 |
本年度は昨年度より収集を続ける南朝系基礎データ(陵墓石刻・彩色壁画・画像石・画像〓・線刻画・出土遺物等)の収集を継続するとともに、山本・来村両名の各専門領域における分析を行った。 山本は南京・丹陽周辺調査旅行(2005年9月)において南朝陵墓26ヶ所を調査し、陵墓石獣36体のデジタルデータ4456枚及び磚画803枚、その他出土金具等351枚を収集。陵墓石獣に関してはこれまで限られた写真資料の刊行しか行われていなかったので、『南朝陵墓石獣図譜』(三恵社)として刊行する(2006年9月予定)。石獣研究に関しては、従来の陵墓比定の研究を主眼とするものではなく、彫刻・文様の様式研究を主眼とし、有角獣・無角獣それぞれの様式展開を、体躯造形比率・動勢表現・体表装飾において位置づけ、従来の考古学的編年とは異なる結論を得た。また体表装飾では漢代以来の動物系文様と北朝系植物文の融合過程を見出すことができた。これらの様式展開を環東海地域において位置づけるのが今後の課題となる。南朝陵墓〓画に関しては、植物文様と雲文を中心に北朝文様との比較を行い、南朝系植物文様の造形特色を求めたが、特に南朝の独自性を見出すにはいたっておらず、継続的な研究が必要とされる。 来村は環東海地域における紀元前2世紀から10世紀にかけての墓室装飾に関して刊行された中華人年共和国・朝鮮民主主義人民共和国・大韓民国・日本の報告書・図録・一般図書を可能な限り収集し、墓室構造と内面装飾(彩色壁画・画像石・画像〓・線刻画)の構成を整理したのち、装飾の背景となる精神文化における各時代間・各地域間の相互関係を究明し、被葬者に対する鎮魂の表現方法にいくつかの共通点を見出した。共通点を考察した結果、魏晋南北朝時代の環東海地域における精神文化の融合性を確認したため、日本中国考古学会第16回大会(2005年11月20日)で成果を公表した。
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