研究概要 |
平成17年3月7日から24日まで、ブランデンブルク州立中央文書館において、マルヴィッツ家「フリーデルスドルフ領文書」(BLHA, Br.Pr.Rep.37, Friedersdorf)とロッホウ家「レカーン領文書」(BLHA, Br.Pr.Rep.37, Reckahne)の所蔵状況を調査した。前者に関しては、すでに5年前にほぼ調査を終えている。このため今回は後者の閲覧を中心に行ったが、第2次世界大戦末期の被災によって多くの史料が失われてしまったことを確認した。特に村落学校関係の史料は皆無であった。ただし、18世紀から19世紀初頭にかけて、領主=領民間で争われた領主制廃止に関する交渉記録と、18世紀の治安関係の史料が比較的豊富に所蔵することを確認した。そこで、前者の史料を閲覧し、分析に取り組み始めている。またブランデンブルク州レカーン村に現存する「レカーン校博物館」と「ロッホウ家博物館」において、これまで公刊されたロッホウ家やレカーン領関係の文献調査を行った。 以上とは別に、この間発表したブランデンブルク貴族史に関する諸論文を全面的に書き改め、新稿を追加し、『ドイツ近世的権力と土地貴族』(未来社、2005年1月20日刊)を刊行した。同書は、主に16世紀から18世紀初頭を対象とし、ブランデンブルク貴族による権力と農村支配の実態と変遷を検討したものである。その終章において、18世紀後半におけるブランデンブルク土地貴族の領地支配に対する展望を示しておいた。これによって、2つのブランデンブルク貴族家マルヴィッツ家とロッホウ家に関する本研究の課題と視座を具体的に示すことができた。 他に、近世ドイツ教育史研究者である増井三夫氏(上越教育大学)と、ドイツにおけるロッホウ研究の第1人者H.SchmidtとF.Toschの最新業績『民衆のための理性Vernunft fur Volk』の合評会を2度行い、「ロッホウ研究会」の立ち上げを準備している。
|