経済のグローバル化の進展により、ヒトの国際移動がいっそう加速されている。国境の壁を超え、「他者」との共生を実現するために、世界各国の人々がどのように相手の違い、民族・人種の違いを互いに認め合う寛容の精神や知恵を身につけることができるか、という新たな課題に迫られる。冷戦後、世界の紛争の主な原因は人種・民族・宗教の違い、総じて文化の違いの問題へと集中してきており、至るところで多文化の共存の可能性が求められている。 本研究は、アメリカ社会におけるアジア系移民のアイデンティティの変容過程を、全米日本人移民博物館と中国人移民博物館の設立と展示を分析し、米国における国民統合の実態を解明することを目的としている。また全米日本人移民博物館と中国人移民博物館の成立過程と展示を比較しながら、米国の多文化主義のあり方および多文化共存社会の構築の実態を明らかにしたい。
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