研究課題
平成16年度は今回のプロジェクトの初年度であるため、この研究全体にとって基本となる歴史史料の文献学的研究を中心に据え、併せて考古学資料及び研究文献の収集を行った。また研究史の整理も開始した。具体的には、1.ディオドーロス『ビブリオテーケー(歴史総覧)』の史料批判的研究を行った。同書の第14巻(前404年から前387年までを扱う)をP.J.Stylianou(1998)のコメンタリーを利用しつつ読み進め、イタリア史に関する記述を中心に、リーウィウス『建国以来』を始めとする平行史料との比較を通して、ディオドーロスに伝わる伝承の史料的価値を検証した。2.8月31日から9月10日まで、イタリアおよびドイツで文献の収集と現地調査を行った。(1)ローマ・トレ大学、在ローマ・ドイツ考古学研究所、バイエルン国立図書館(ミュンヘン)で、『ビブリオテーケー』の史料批判的研究に必要な文献、前4世紀初頭を中心としたローマとラティウム・南エトルーリア地域の諸都市との政治的・文化的関係に関する文献、カエレの遺跡及びカエレの外港ピュルギの神殿跡の発掘に関する報告・研究文献を収集した。(2)チェルヴェテリ(カエレ)の博物館、ヴィラ・ジュリア国立エトルスキ博物館(ローマ)、サンタ・セヴェーラのアンティクワリウムとピュルギの神域跡の発掘現場を訪れ、ラティウム・南エトルーリア地域の諸都市と西地中海世界との交流に関する研究を考古学史料によって補強するための、実地の見分と資料の収集を行った。3.前4世紀におけるローマとラティウム・南エトルーリア地域の諸都市の関係に関連する問題群のうち、「ムーニキピウム(自治都市)」と「投票権のないローマ市民権」の起源に関して、研究史の整理を開始した。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (1件)
The Journal of Classical Studies (The Korean Association for the Western Ancient History and Culture) 14
ページ: 25-60