本年度は本研究の最終年度であり、これまで行ってきた準備的な作業の段階を終了して、総合的な作業を行い、その成果を報告書としてまとめることを第一義的な作業と位置づけていた。と同時に、最近の研究動向を把握する意味からも、ロシア中世・近世経済史関係の図書や史料集などの蒐集も継続し、文献目録の整理と作成、データの整理を行う予定であった。 修道院の経済文書を収入・支出の両面から分析することによって、修道院が商業活動にどのように関わっていたのか、商業活動の担い手との関係はどうであったのか、そもそも商業活動の担い手はどのような人々であったのか等を探り、16世紀のロシア国内における商品流通とその担い手を明らかにすること、西ヨーロッパ及びアジア地域とロシアとの関わりを商品流通の面から探ること、商品そのものにも注意を払い、ヨーロッパ・アジア間の商品流通に果たしたロシアの役割を明らかにすることを課題としたが、残念ながら具体的成果を得るには至らなかった。
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