研究概要 |
1)昨年度に引き続き、ワシントンD.C.のアメリカ国立公文書館にあるアメリカ軍情報部及び連邦捜査局関係ファイル(RG165,RG65,etc.)を調査し、コミンテルン・パンアメリカン・エイジェンシーの活動に関する報告書類を探し出し、約500枚のコピーを持ち帰った。昨年度分と合わせて計1,500枚に及ぶ史料の分析を約4分の3ほど終え、それらのデータ入力も終了している。そのうち、政府押収史料は2)で記す史料と重複するものもあり、その信憑性は高いと判定されるし、その上、2)に未所蔵の史料も見出せる。 2)ワシントンD.C.の議会図書館にモスクワの文書館(ルガスピ)から里帰りしたアメリカ共産党関係文書も昨年度に引き続き調査し、関係史料約100枚のコピーを持ち帰った。昨年度分と合わせて計400枚の史料の分析も終了し、データ入力を終えた。1)の史料及び収集済みのコミンテルン本部の関係史料と併せて、エイジェンシーとアメリカ共産党との関係は、ほぼ包括的かつ詳細に解明できる見通しがついた。 3)新たにオルバニィのニューヨーク州立公文書館を訪れ、駐米ソヴェト・ロシア政府非承認代表マルテンス関係押収文書を調査し、関係史料約100枚及びマイクロフィルム2リールを入手し、その分析及び入力作業もほぼ終了した。特に明らかとなったのは、ロシア政府代表による活動とアメリカ共産党(とりわけロシア人連盟)による活動との間に権限をめぐる対立が生じ、そのことが直後にいわば「外」からコミンテルン本部によって設立されたエイジェンシーと現地共産党員との間で起こった対立の一淵源であったことである。 4)年度末に2週間強、アムステルダムの社会史国際研究所を訪れ、ラテンアメリカ・コレクションの中からメキシコ共産党関係アルヒーフ史料及び雑誌等を調査し、関係史料のコピーを持ち帰る。
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