研究課題
基盤研究(C)
1.まずは、公教育の組織化におけるフランス的特質の解明をめざした。初等教育の組織化をめぐっては、17世紀末よりカトリックによる宗教統一という目的から初等学校の組織化が進められた。その中心となった教会関係者や教育修道会の創設者たちは、学校にカトリックの教義を伝達する手段を見出し、全国的規模で展開する画一的な学校を構想した。この構想はフランス革命期にも一部継承された。革命家たちは共和主義的教育を行うために全国均一な初等学校の設置をめざした。このように、学校にイデオロギー伝達の役割が期待され、全国的規模で同一の学校がイメージされたこと、にもかかわらず、現実には地域のそれぞれの状況により学校のあり方はばらばらであったことが、公教育の組織化に見られるフランス的な特質であり、王政期から革命期を通して一貫して指摘できることである。2.続いて、新しい家族が学校のあり方をどのように変えていくかという問題を検討した。18世紀には近代家族と称される新たな家族が登場し、愛情で結ばれた親子関係を構築しようと願う。子ども向けの定期刊行物を買い求め、その商業的成功を助けた彼らは、手間暇を惜しまず子育てに取り組もうとする人びとであったが、子どものための学校を選択するにあたっては、寄宿という形態を好んだ。家庭的雰囲気の中で監視の目が行き届くことを願ってであった。彼らのそうした態度は、伝統的な教育機関であるコレージュのあり方を変える一方で、従来はコレージュの補佐にすぎなかった寄宿学校の成長を促し、寄宿学校教師の自立をもたらして教育における社団的編成の解体を導いていったのである。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (2件)
国家・共同体・教師の戦略(松塚俊三, 安原義仁編)(昭和堂)
ページ: 23-42
State, Community and Teachers(Syuzo MATSUZAKA and al.(ed.))(Showa-Do)
革命と性文化(若尾祐司, 栖原弥生, 垂水節子編)(山川出版社)
ページ: 11-40
Revolution and the Sex-Culture(Yuzi WAKAO and al.(ed))(Yamakawa-Shuppansya)