研究概要 |
初年度は、古代都市ローマにかかわるキリスト教碑文資料集の入手につとめ、デジタル化作業に入ることを主目的に設定した。 1)国内で完全所蔵皆無の基本碑文史料集Inscriptiones Christianae Urbis Romae septimo saeculo antiquiores(1857-1992)を完備すべく、絶版のnova series, voll.I-III(1922-56)を南山大学神学院図書館から借り出してコピーし、これによって全巻製本を達成することができた。 さらにアルバイト学生を動員して全巻のスキャンを完了、デジタル化作業を開始した。作業能率を高めるため最速パソコンを投入し、デジタル化作業促進を図ったが、ラテン語の修正作業に手間暇かかり思うように作業ははかどらなかった。これは次年度の大きな課題である。 2)また、都市ローマのトポグラフィ研究に不可欠の最新辞書(Lexicon Topographicum Urbis Romae, Roma,1993-2004)の既刊すべて(7巻)を揃えることができた。同時に、最初期のキリスト教徒到来が想定されているOstiaの研究叢書Scave di Ostia(1953-)の入手につとめ、既刊13巻中9を確保できた。さらに、初期ローマ教会の信仰の中心で巡礼の敬仰の的であった聖ペトロの墓所に関する、国内未所蔵研究文献をインターネットを利して欧米古書店で渉猟し、かなり成果をあげることができた。 3)これらを利用しての本格的研究は今後の課題であるが、さしあたり初年度において口頭発表を3回おこない、とりあえず本研究の周辺部分に関する成果を2本公表することができた。
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