研究課題/領域番号 |
16520460
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
白石 典之 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 助教授 (40262422)
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研究分担者 |
鶴田 一雄 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40180062)
松田 孝一 大阪国際大学, 経営情報学部, 教授 (70142304)
吉本 智慧子 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (70331105)
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キーワード | モンゴル / 金代(金国・金朝) / セルベン=ハールガ碑文遺跡 / ウルジャ(オルズ)河戦役 / チンギス=カン / 完顔襄 / 女真文字 |
研究概要 |
モンゴル国ヘンティ県バヤンホタク郡に所在するセルベン=ハールガ碑文遺跡の研究を行うことが本プロジェクトの目的であった。この碑文は2基の碑石からなり、1基は漢字、もう1基は女真文字で書かれている。ともに1196年にあった金国完顔襄とタタル族との間で勃発したウルジャ(オルズ)河戦役の、完顔襄によって刻まれた戦勝記念碑である。この戦いには若き日のモンゴル帝国の始祖チンギス=カンも金国側の一部将として参加していた。この勝利に貢献したことによって、チンギス強大化のターニングポイントになったことが知られている。しかしながら、その戦争の概要はよくわかっていなかった。それを知る手がかりがこの碑文にある。 『金史』に「九峯石壁碑文」として書かれているこの碑文の所在は不明であったが、1991年に確認された。研究代表者はこの碑文の発見者の一人である。世界のモンゴル史研究者からいち早い内容の公開を要請されていきたところである。しかしながら、碑文面の風化が激しく、その内容を読み取ることは極めて難しかった。そこで本研究では、碑文の採拓とともに、最新デジタル機器で写真とビデオ撮影を行い、基礎データの収集に努めた。それに基づき研究分担者の参加のもと、解読作業を行った。また、書体や文書構成などの分野からの検討という、製作者の文化的・社会的背景に迫る新たな試みも実施した。 その結果、本文は女真文字と漢字ともに、一部未読部分を残しながらも、大筋でその内容をつかみ取ることができた。また、中国の磨崖碑などとの比較からその碑文製作者の系譜を想定する手がかりを得た。これらの成果は報告書において、ほとんど英文で執筆された。これは当該分野に関心を持つ世界の研究者に益する所だと信じる。
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