研究概要 |
新潟県小千谷市真人町に所在する真人原(マットバラ)遺跡は,後期旧石器時代後半期の尖頭器をともなう遺跡で,信濃川左岸の後期更新世末の段丘上に立地する.A,B,Cの3地点からなる.本年度の科研費により,B地点の第4次調査を実施し,B地点の調査を全て終了した. 遺物の集中区に周縁調整の尖頭器を確認し,層位と石器の形態学的特徴からA,C地点と同時期であることが判明した.石材に注目するとA,C地点は多様な石材(珪質頁岩を主体に珪質凝灰岩,無斑晶質安山岩,少量の黒曜石)が利用されているのに対し,B地点は珪質頁岩と頁岩だけで構成されていることが判明した.時期的な同時性と使用石材の共通点と差異をふまえ,信濃川中流域における後期旧石器時代後半の居住のパターンと石材利用の分析の結果,広域回帰と比較的狭い範囲の回帰的類型を仮説的に導き出すことができた. また,当該地域の段丘形成と,過去の地殻変動による地層の液状化についての分析を分担研究者がおこない,当時信濃川が流れていた段丘面を特定することに成功した. 研究代表者は,2005年夏に実施した発掘調査の結果と,いままでに調査して解明が進んでいるA,C地点の成果を合わせ,2005年11月に韓国,忠北大学でおこなわれたシンポジウムで成果を報告した.(Chrono-stratigraphic frameworks and raw material procurement systems in the Upper Palaeolithic of Japanese islands).
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