研究課題/領域番号 |
16520465
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研究機関 | 国学院大学 |
研究代表者 |
青木 豊 国学院大学, 文学部, 教授 (50150628)
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研究分担者 |
内川 隆志 國學院大學, 考古学資料館, 学芸員 (80176677)
原田 一敏 東京国立博物館, 文化財部, 上席研究員 (20141989)
松崎 相 國學院大學, 文学部, 助手 (90383992)
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キーワード | 和鏡 / 和歌山県 / 隅田八幡神社経塚 / 四村神社 / 大川村 / いの町 / 若宮八幡宮 / 和鏡群 |
研究概要 |
平成17年度は、近畿〜中国、四国地方の出土和鏡についての資料収集を行った。特に既存の報告書・県誌・市町村誌・『月刊文化財情報』等からの情報収集と並行して各地に出向き、熟覧観察・写真撮影・採拓・断面実測を行った。調査で重きを置いた点は、時代判定の基準である形状変化を示す断面実測であり、既存の報告に無いものが多いこともあり入念に実施した。 近畿地方では、和歌山県を中心に調査を実施した。7月は、和歌山市立博物館、紀州風土記の丘資料館において、西庄遺跡・大藪遺跡・岩黒聖社・木の本経塚・聖社出土和鏡、さらに平成10年度に発見された橋本市隅田八幡神社経塚出土和鏡20面の写真撮影、採拓、実測を実施し資料化を図った。9月には、これまで殆ど周知されていない田辺市本宮町四村神社に奉納されている出土和鏡の一括資料42面について資料化を実施した。本資料は『本宮町史』文化財編に若干記載されるのみで実態は不明であったが、今回その詳細を明らかにすることは意義深い。鏡は概ね13世紀〜15世紀に比定できるもので、擬漢式鏡がその主体を成す。火災による容着が著しい資料も散見された。 また11月には、高知県大川村に所在する和鏡群について調査した。大川村には、旧村域が早明浦ダムの建設によって水没する際に各神社に奉納されていた鏡が約800面存在すると言われている。そのうち大川村教育委員会の保管する27面(井野川地主神社旧蔵8面、新田神社旧蔵8面、大藪白髭神社旧蔵5面、春日神社旧蔵3面、川崎地主神社旧蔵1面、朝谷地主神社旧蔵1面、中切八坂神社旧蔵1面)について資料化した。春日神社旧蔵鏡は江戸期のものであったが、全体としては14〜15世紀の鏡群式に倣う中世和鏡群である。更には、当該地域の鏡信仰の風土的・歴史的環境を調査する過程で、いの町に所在する若宮八幡宮蔵鏡79面についても資料化する機会を得た。多くは江戸期の柄鏡であったが、地域史にとって価値ある一群である。
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