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2004 年度 実績報告書

長江中上流域における秦漢帝国による地域統合の研究

研究課題

研究課題/領域番号 16520468
研究機関成城大学短期大学部

研究代表者

小澤 正人  成城大学短期大学部, 助教授 (00257205)

キーワード秦漢帝国 / 春秋戦国時代 / 墓葬 / 青銅礼器 / 長江流域
研究概要

本年度は主に春秋戦国時代の墓葬と出土遺物について検討を行った。まず研究計画に従い、四川省、湖北省、湖南省、河南省南部の春秋戦国時代墓葬の集成をおこない、その編年について一定の見通しを得た。
さらに春秋戦国時代における墓葬造営の原理を明らかにするために、墓葬から出土する青銅器礼器に注目して検討をおこなった。具体的には春秋戦国時代の出土青銅器礼器を中国全域にわたり集成編年をおこない、その結果を基にして特に地域性に注目して検討した。
その結果、春秋戦国時代青銅礼器には器種構成に認められるような地域を越えた統一性が存在しており、その統一性の中での地域性は個々の器種での形態上の違いとして表現されていることが明らかになった。この統一性と地域性の背景は次のように考えられる。
青銅礼器は祭祀・儀礼に用いられたのであり、その器種が共通し、その変化も地域間で共有されていたとするならば、青銅礼器を使った祭祀・儀礼が細部に至るまでの共通化されていた、言い換えるならば統一的な祭祀・儀礼体系に存在を、青銅礼器の背景に想定できる。同時に各機種の形状に顕著な地域差が存在していることは、上記の統一的な祭祀・儀礼体系が礼器細部の形状までを規定するような明文化された制度に基づくものではなく、地域により形状の自由な解釈を許す、一種の規範に立脚していたことを表している。
つまり東周時代青銅礼器は規範を共有する地域で統一的な展開を示したのであり、それが規範であるが故の解釈の自由度により、地域ごとの多様な形状を生み出すことになったのである。このようなありかたは青銅器のみに留まるものではなく、墓葬そのものにもあてはまることになる。このような規範に基づく戦国時代までの墓葬が、秦漢時代にどう変容するかの検討が、次の課題となる。

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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