研究課題/領域番号 |
16520469
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研究機関 | 北陸学院短期大学 |
研究代表者 |
小林 正史 北陸学院短期大学, 教養学科, 教授 (50225538)
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研究分担者 |
久世 建二 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 教授 (80177998)
北野 博司 東北芸術工科大学, 歴史遺産学科, 助教授 (20326755)
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キーワード | 黒班 / 野焼き方法 / 道具としての土器 / 土器作り工程間の機能的関連 / 縄文土器 / 弥生土器 / 土師器 / ワークショップ(参加型・経験型の研究会) |
研究概要 |
本研究の目的は、縄文土器・弥生土器・土師器の野焼き方法を復元すること、および、当該研究に携わる研究者を養成することである。これらの目的のために平成16年度は、第1回大阪(8月6〜8日、大阪府埋蔵文化財センター)、第2回加賀(10月10・11日、金沢美術工芸大学における野焼き実験と小松市教育委員会における土器観察)、第3回吉備(11月13・14日、岡山県古代吉備文化財センター)、第4回岩手(12月10〜12日、岩手県埋蔵文化財センター)、第5回熊本(平成17年3月12〜14日、熊本市博物館)、という5回のワークショップを開催し、以下のような成果を収めた。第1に、各ワークショップでは、地元研究者に広く参加を呼びかけて野焼き方法の研究や土器の機能研究に関心のある方々に参加してもらい、黒斑の観察方法についてのオリエンテーションの後、2日間かけて黒斑の観察を行った。研究代表者・分担者・協力者は、自分で土器観察を行うと共に、初めて参加する地元研究者に観察の手ほどきを行った。記録した土器実測図と写真類をもとにデータベースを作り、野焼き方法を復元するレポート作りにも、地元研究者の参加を呼びかけた。その結果、大阪、吉備、岩手では、初めて参加した地元研究者が、研究分担者・協力者ともにレポート作りを担当した。ワークショップのレポートと写真・実測図(スキャナー読みとり)はCDに入れて各ワークショップ参加者に送ることになっているが、大阪と加賀(野焼き実験部分)のワークショップレポートは開催から2ヶ月以内に完成し、発送済みである。吉備・岩手・熊本のワークショップレポートも各々がほぼ完成した状態であり、2005年4月中に各ワークショップの参加者に発送予定である。野焼き方法に関心を持ち、分析経験まで持つ研究者の数を増やすことができた。 第2に、各ワークショップにおいて、野焼き方法において多くの新知見が得られた。岩手(縄文中・後期の清水遺跡と、8世紀の上田面遺跡の土師器)と熊本(縄文後期の上南部遺跡)のワークショップでは、これまで不明瞭だった縄文土器の野焼き方法(特に土器配置方法と内面への薪の差し入れ)の地域的バリエーションが明らかとなり、その違いを生み出した要因も推定できた。また岩手県北にある上田面遺跡の8世紀の土師器の観察では、岩手県南と異なり、開放型に近い様相が観察でき、中央政府の支配の浸透状況との対応が明らかになった。大阪(弥生後期の亀井遺跡と古墳前期の久宝寺遺跡)と吉備(弥生後期の原尾島遺跡と矢部南向遺跡)のワークショップでは土器の形に応じて置き方・積み方が工夫されていることが明らかとなった。また、ワークショップとは別に各地域で色調の測定を行った。
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