本年度は、まず、昨年度に引き続き、インターネットや携帯電話上のサイトを網羅的かつ系統的な検索によって基礎データを作成する作業を続行した。商業分野における地域情報サイトの現状を把握するために、全国商店街振興組合連合会加盟の商店街組織(全国780商店街)について、逐一HPの閲覧を行って作成したコンテンツ・データベースを分析した。その結果、商店街サイトでは、a.商店街概要、b.店舗リンク、c.特売・イベント情報の掲載率がいずれも70%以上と高いこと、地域的には大都市圏中心部、政令指定都市、県庁所在都市など中心性の高い都市ほどサイト開設率が高いことなどが判明した。次に、地方自治体におけるインターネットによる地域情報発信の実態を把握するために、北海道道東地域、東京都下、石川県、長野県、大阪府下、山口県、大分県内の293市町村についてHPを閲覧して、コンテンツのデータベースを作成した。その結果、自治体コンテンツにはいくつかのパターンが存在し、たとえば外国語対応、携帯電話対応のページを持つサイトの割合は都市規模が大きくなるにしたがって大きくなること、観光等を意識してイメージ重視のコンテンツとなっているサイトは、大分県や長野県など特定の地域に多く存在すること、等が判明した。また、自治体におけるサイト開設・運営の実態を把握するために上記地域の各市町村に対するアンケート調査を実施した。アンケートは原則として電子メールによって行い、一部に郵送調査を併用した。約50%の自治体からの回答が得られており、その内容については目下分析中である。一方、携帯電話を利用した商店街活性化の代表的な例である金沢市竪町商店街において、商店街事務局および各店舗に対するヒアリング調査を行った。さらに、自治体による地域情報発信の実態を検討するために、北海道道東地域の自治体に対するヒアリング調査を実施した。なお、本研究における成果は2005年6月にイタリアで開催されたDigital Communities Conference、および同10月の人文地理学会大会において報告した。
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