研究概要 |
本研究の目的は,インターネットおよび携帯電話を用いた地域情報発信の現状を実証的に把握・分析することである.まず,Yahoo,Yahoo Mobileなどのポータルサイト上で地域別のエントリーをもつサイトを分析した結果,地域情報サイトの割合は,PCインターネット,携帯電話の一般サイト,携帯電話の公式サイトの順に低くなり,三者の間で地域情報発信の手段としての浸透度合いが依然として異なっていることが判明した.特に携帯電話について地域情報サイトの地理的分布を分析したところ,地域情報サイトの地理的分布は日本の都市システムの階層構造にほぼ一致していることが確認された.さらに,携帯電話の位置情報を利用した地域情報発信について,i-エリアサービスの地区区分やGPS利用の情報サービスの特徴等を検討した. 次に,商業分野における地域情報サイトの現状を把握するために,全国商店街振興組合連合会加盟の商店街組織について,HPの閲覧を行って作成したコンテンツ・データベースを分析した.その結果,商店街サイトでは,a.商店街概要,b.店舗リンク,c.特売・イベント情報の掲載率がいずれも70%以上と高いこと,地域的には大都市圏中心部,政令指定都市,県庁所在都市など中心性の高い都市ほどサイト開設率が高いことなどが判明した. さらに,地域情報発信の代表的主体である地方自治体について,国内各地の市町村を対象としたアンケート調査およびヒアリング調査に基づいて分析を行った結果,(1)市町村規模と公式サイト開設の早遅には明確な関係がみられないこと,(2)外部向けの情報発信を重視するのは小規模な自治体が多く,そうした市町村規模による差は,災害情報の提供や外国語への対応にも見られること,(3)政府の政策にもかかわらず,現実には電子自治体の実現はそう進んでいるわけではなく,市町村規模による差も大きいこと,等が判明した. 一方、過疎地自治体による特産品のインターネット販売の事例分析を行った結果、店舗や販売ルートの制約の小さいインターネット販売が過疎地における地域振興の可能性を開くことが確認された。
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