研究概要 |
内外の主要な地理学の学術誌を取り上げ、1950年以後にそれら学術誌に掲載されたすべての論文(展望論文を除く)について、論文中の視覚情報の量を測定し、そこで得られたデータをもとに、地理学思想史において視覚情報がどのように位置づけられてきたかを分析することが本年度の目的であった。 対象の学術誌は、日本の地理学評論、アメリカ合衆国のAnnals of Association of American Geographers、イギリスのTransactions, Institute of British Geographersの3誌であり、本年度、Annals of the Association of American Geographersについては、1950年から1999年までの1567論文の計測・データ入力作業が完了した。また、地理学評論についても1960年代、80年代、90年代の計測・入力作業が終了した。 Annals of the Association of American Geographersについての集計結果は、次のとおりである。1)20世紀後半50年間を通じての視覚情報の量は、100ページあたり、(1)地図10個、面積7ページ分、(2)図(地図を除く)15個、面積7ページ分、(3)写真・絵画・絵図12個、面積6ページ分、(4)表13個、面積5ページ分、(5)総計50個、面積25ページ分、であった。全ページの実に4分の1が視覚情報によって占められていること、地図のみならず、地図以外の図も多く占めていることがわかった。2)経年的には、視覚情報は、1950年代には少なく、60年代に急激に増加し20世紀後半の中で最多となった。その後、70年代、80年代、90年代と少しずつ減少した。3)種類別には、表は経年的には比較的一定、地図と写真・絵画・絵図は2)と同様の傾向、地図以外の図は、2)と逆に、50年間を通じて増加の傾向にあった。
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