研究概要 |
昨年に引き続き、内外の主要な地理学の学術誌を取り上げ、1950年以後にそれら学術誌に掲載されたすべての論文(展望論文を除く)について、論文中の視覚情報の量を測定し、そこで得られたデータをもとに、地理学思想史において視覚情報がどのように位置づけられてきたかを分析した。対象の学術誌は、日本の地理学評論、アメリカ合衆国のAnnals of the Association of American Geographers、イギリスのTransactions, Institute of British Geographersの3誌である。 本年度の作業により、3誌とも1950年代から2004年までのデータの入力作業がほぼ完了した(Transactions, Institute of British Geographersについては、1965年以降)。ところが、地理学評論については、入力したデータに信頼性に欠ける部分が発覚したため現在、すべてについて再計測を行っているところである。 Transactions, Institute of British Geographersについての集計結果は次のとおりである。 1)1965年から2004年までの40年間の視覚情報の量は、100ページあたり、(1)地図10個、面積7ページ分、(2)図(地図を除く)13個、面積7ページ分、(3)写真・絵画・絵図3個、面積2ページ分、(4)表15個、面積6ページ分、(5)総計42個、面積23ページ分であった。Annals of the Association of American Geographersにおける割合とほぼ同じであり、全ページの約4分の1が視覚情報によって占められていた。2)経年的には、視覚情報は、60年代以降徐々に減少し、特に1990年代後半には急激に減少した。3)種類別には、地図は2)と同様の傾向、表は70年代と80年代で多く、90年代に減少、写真・絵画・絵図は1980年代に多く、地図以外の図は比較的一定の割合であった。
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