研究課題
基盤研究(C)
本研究課題は、ランダム・ウォークの観点から、都市における移動行動の動態的な空間モデルの構築をめざすものである。こうしたモデルの定式化は、従来の重力モデルを確率論的に書き換えることを意味する。この目的を達成するには、移動行動が行われる空間の固有の影響力と移動者の行動特性を明確に定義する必要がある:前者を「場の効果(spatial configuration)と呼ぶ。本研究課題の遂行に際して-は、(1)現地調査と(2)数量解析によって、パースと福井等における人口移動を分析した。(1)現地調査:オーストラリア西海岸の中心都市パースで、都市圏の都市構造の現況と変遷、都心部から近郊一円の住宅街や住宅市場について現地踏査するとともに、移動経歴の予備調査を行った。(2)データ解析:(1)福井市の1998〜2001年度の住民異動届(個票)データ、ならびに国勢調査の人口移動データ(全国、福井県、東京都、秋田県の市区町村)を用いて、福井市を基点とする全国の都市間との移動、ならびに、福井の都市内移動について、男女別・年齢階層別に移動パターンを分析し、各集団ごとの移動距離や移動の頻度分布を抽出した。(2)空間内における移動発生のシミュレーション分析を行った。空間、移動行動、移動頻度の3要素について、さまざまな条件を設定して移動を発生させ、距離と方向の頻度、着地点パターン等について分析した。このような、経験的データや仮想データに基づく調査や分析を通じて、空間内部における移動行動の動態モデルならびに都市集落形成の確率過程に関するモデルを構築する可能性がより確かなものになった点で大きな意義を有する。
すべて 2007 2006 2005 2004
すべて 雑誌論文 (12件)
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