研究課題/領域番号 |
16520492
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
山本 健兒 法政大学, 経済学部, 教授 (50136355)
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研究分担者 |
増田 壽男 法政大学, 経済学部, 教授 (70061190)
西澤 栄一郎 法政大学, 経済学部, 助教授 (30328900)
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キーワード | エコタウン / リサイクル / 社会資本 / 大牟田 / RDF / 企業 / 市民団体 |
研究概要 |
大牟田エコタウン事業の問題の1つは、目玉事業たるRDF関連施設の不調にある。2002年12月に稼動したRDF発電所は、早くも2003年1月28日に不具合のために運転を停止し、2005年5月末までの間にトラブルが9回発生した。RDF化施設でも発火事故が数回起きている。大牟田では、市民団体がRDF発電所建設計画中止を申し入れていたし、事故や運転停止のたびに市長や発電所所長などに抗議文や質問状を送る行動を続けてきている。 RDF焼却灰処理も問題である。これは当初、エコタウン内に立地する別の企業が路盤材としてリサイクルする予定だったが、実際にはコスト的にひきあわず、現在ではやまぐちエコタウンに立地する企業に逆有償で引き取ってもらい、セメント原料として処理されている。 大牟田市が現在最も力を入れているエコタウン事業は、リサイクル企業誘致である。その用地は大牟田市土地開発公社が整備したため、本来ならば分譲しなければならないが、2003年8月に環境創造新産業特区として認められたので、賃貸が可能になった。これを受けて、2004年3月以降5社が立地した。リサイクル実験段階にある4社を含む9社の中で、大牟田市内の企業が関係するのは2社しかない。しかし、市外からの進出企業の中には、紙おむつリサイクル事業を全国で初めて展開しようとする企業のように、循環型社会構築のために注目できるものもある。 エコタウンの理念に添わない問題が発生した理由は、RDFの可能性が不確実な段階で、理念とは別の思惑が絡んで事業を進めてしまったことにある。また、地域の特性を生かすことが重要だとされながら、大牟田及びその周囲で最も重要なリサイクル産業企業としての性格を持つ三井系諸企業の中に、土地の提供者にとどまっているものしか見出せない。つまり、新しい事業を育てるための社会資本とでも言うべきものが、大牟田には希薄である。
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