1.川辺川ダム関係資料収集調査 調査研究は、五木村等の現地における個別面接調査の聞書きを中心に、併せて国土交通省川辺川ダム砂防事務所、熊本県庁、五木村、熊本県立図書館、人吉市立図書館、頭地資料室「やませみ」(五木村)等に所在する史資料の収集調査を行ない、蓄積した資料を整理分析した。 2.村落再編過程に関する現地実地調査 五木村の代替地に移転した人々に対し、聞書き調査を行い、資料化を図った。 3.調査研究成果のまとめと報告書の作成 (1)調査研究成果のまとめ ・村落再編課程の状況を検討した結果、この計画における最大の問題点は、計画発表以来40年以上を経過して、時間がかかりすぎたことである。今後の事業の推進にあたり、時間評価を取り入れた点検システムの検討が必要と思われる。 ・旧村落からある程度の家々がまとまって移転した場合は、民俗行事の継承もなされて比較的安定的な村落再編が実現できたと見られる。一方、いくつかの旧集落が統合された場合は、旧来の暮らしの質を維持することが困難であった。 ・村落再編に際して旧来の民俗の継承を図ることは、暮らしの安定化にとって必要かつ重要である。 ・民俗行事の保存継承、そのための関係施設の維持・保全は、優先的に考慮される必要がある. ・民俗学的見地からすれば、川辺川ダム建設計画のように村落再編を伴う大規模開発計画を実施する場合には、事業推進者が当該住民の心情と事情に深い配慮を払うことが最も大切であることが明らかになった。 (2)研究成果報告書(冊子)をまとめて刊行した。 ・川辺川ダム建設計画の動き(年表を含む)、村落移転の過程、頭地代替地における村落再編、村落再編課程をめぐる考察のほか、参考資料(川辺川ダム事業審議委員会関係資料)等の内容により作成した。
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