平成18年度では、平成16年度、平成17年度からの継続研究としてタイタ語の副詞・前置詞・接続詞・関係詞を中心として研究を進めていくとともに、既に採録が終わっている語彙集における例文を、文法との対応関係に齟齬が生じないように再チェックを行い、その結果をタイタ人の調査協力者とともに最終的な検討をおこなった。当年度においては、次のスケジュールで研究をおこなった。 I 2006年4月〜7月: タイタ語の副詞・前置詞・接続詞・関係詞の研究と、タイタ語の既採録2000語彙に付属する例文のなかで文法的な説明が困難なものを洗い出していくとともに、表記法の統一を図った。 II 2006年8月〜9月:ケニアでの調査研究 現地調査協力者とともに不明箇所の総点検を行い、文法書と語彙集の整合性を図った。 III 2006年10月〜2007年3月: タイタ語の語彙と文法構造に関する最終チェックとまとめをおこなった。 以上、平成13年度〜15年度にかけて科学研究費補助金によりおこなってきた語彙に関する研究に、新たに3ヵ年にわたる研究を継続しておこなうことにより、アルフレッド=レイによるサガラ語に関する研究の資料批判に始まった本研究は、漸くタイタ語の全体構造を示すことができる段階になってきた。 本研究を通して得られた研究成果は、タイタ社会に還元できる形で公表する必要があることから、途中経過に関する報告は雑誌論文でおこなうにしても、最終的には先の文法構造に関する成果とともに英語で公表する準備をあわせて進めてきており、間もなく完成予定である。 この研究実績を踏まえて、つぎにタイタ語のコーパスの中で、発話の記録に関する研究が必要となると考えられる。タイタの世界観の表象としての発話行為の中に、これまでの研究により明らかになってきた言語世界がどのように投影されているかを継続して研究していくこととしたい。
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