本研究は、近代日本の都市祭礼について、変遷を時系列に沿って分析していく試みである。特に明治期から昭和戦前期までに作られた祭礼や、一回限りの奉祝行事・記念祭、さらには祭礼に類似したスポーツイベントを対象として、成立事情や変化、内容の特徴を考察し、近代日本の社会変動と文化変容にも関連づけて理解を試みた。 本研究の成果は次のとおりである。1.昭和初期に新しい祭礼が続出するが、京都の「染織祭」、神戸の「みなとの祭」、大阪の「商工祭」など京阪神の大規模な祭礼の例を紹介し、成立事情と内容の特徴をまとめた。2.昭和大礼における市民による奉祝行事について、京都府の例を紹介するとともに、警察の警備記録から全体像を推測し、その祝祭性を明らかにした。3.近代に成立した北海道における神社祭礼について、札幌祭を例に成立史を描き出し、祭礼が必要とされた事情を推測した。4.地域の大規模な年中行事となっているスポーツイベントについて、祭礼との類似性を、戦前期の釧路市民大運動会を例に明らかにした。5.戦後に発展した青森ねぶた祭と仙台七夕まつりについて、戦前と戦後の相違点を比較した。その上で、仙台七夕まつりに関して、戦前の復活期の様相を詳細に跡付けた結果、復活した年が通説よりも1年早いことが明らかになった。6.これらの個別事例の成果を通じて、近代の祭礼の成立と展開について、特徴を試論としてまとめた。
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