今年度は、メディア産業の知・権力と番組制作者の解釈枠組みのディスコース実践の問題として捉え、番組制作過程の「行為実践/表象する知・権力」の双方に対して、メディア人類学の視点から多角的に民族誌的な調査と番組内容の分析を平行して行った。よって今年度の補助金は、主に上記の研究を遂行するための海外における資料収集と聞き取り調査に当てられた。 1.欧米のメディア人類学が、メディア研究全体のなかで大きな成果を収めた、マスメディア・システムを特定の言明を儀礼化する儀礼的エージェントとして見なす近年の民族誌的研究について、その意義や成果を確認し、その成果を論文として発表した。 2.米国のワシントンDCとメリーランド、さらにマレーシアにおいて、次のような資料調査と聞き取り調査を行った。共同製作者:『ミニドラゴンズ』の制作過程、日本語版へのコメント、ゲートキーパーの役割等の聞き取り調査。米国放送図書館(ABL)および国立公共放送アーカイブス(NPBA):放送倫理と第三者機関。米国議会図書館:連邦通信委員会(FCC)と公共放送制度である。 3.以上のような調査研究の成果を踏まえて、論文を執筆するとともに、批判的ディスコース分析による調査結果の分析を進めている。また、本研究課題より派生した質的研究法に関して、共同研究「学際的な質的研究法の体系化と方法論教育への展開に関する調査研究」と題する研究を企図し、研究代表者として準備を進めている。
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