1.平成18年度においては、ブラジルで行った日本人移民に関するフィールドワーク調査[平成13年から平成16年(科学研究費:萌芽的研究、基盤研究(C)]とアメリカで行った日本人移民に関する調査[平成5年から平成6年(トヨタ財団研究助成)、及び平成17年(科学研究費:基盤研究(C)]で収集した資料をもとに、多文化関係学会関西地区研究会(於:関西大学)で「アメリカ・ブラジルにおける日本人・日系人の老い-多文化社会における文化喪失の過程-」というテーマで研究発表を行った。主な内容は以下のとおり。 (1)アメリカ・ブラジルにおける目本人・日系人の歴史比較-日系コミュニティ成立の過程- (2)アメリカにおける日系コミュニティの高齢化の過程 (3)ブラジルにおける日系コロニアの高齢化の過程 (4)老いのエスノグラフィーとナラティブ(アメリカとブラジルの比較) (5)文化の喪失とエスニシティへの回帰 2.第5回多文化関係学会年次大会プレカンファランス・ワークショップ(於:立教大学)において、「フィールドワーク入門-参与観察とインタビューを中心として-」というタイトルでフィールドワークの技法に関するワークショップを開催した。 3.平成17年度に引き続き、アメリカ・ロサンゼルスにあるKEIRO RETIREMENT HOMEにおいてインタビューを中心としたフィールドワーク調査を実施した。 (1)一世:5名、二世:3名、帰米二世:1名、三世:2名、戦争花嫁:1名、戦後移民(新一世):3名のオーラル・ヒストリーを収集した。日系コミュニティと深い係わり合いを持ってきた三世、日系コミュニティとの関わり合いを持たずに老いを迎えた二世、国際結婚を解消しハワイなどで「終の棲家」を探したが最終的にロサンゼルスに移住してきた新一世など、平成5〜6年度の調査では収集できなかった日系老人の老いのナラティブが収集できた。 (2)ホームで企画されている様々なアクティビティ(英語クラス、民踊、歌など)や年中行事(敬老の日など)の参与観察を実施した。
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