平成18年8月6日から9月10日にかけて、英国、ロンドンのハマースミス・フラム・パラ(H&Fバラ)において、都市の地域コミュニティについての実地調査を行った。 (1)昨年度に引き続き、Grove Neigbourhood Centre (GNC:非営利住民組織のコミュニティセンター)の活動の参与観察を行った。GNC設立に深く携わったRevd.David Masonを取材し、彼が携わった1960年代のコミュニティ活動についての文献資料を収集した。 (2)GNCと同地域において、1990年代末に、ミドルクラスの住民たちが自発的に結成したBrackenbury Residents' Association (BRA))の関係者(BRA設立者、前代表、現代表、セクレタリー)を取材し、設立の経緯、組織、運営、活動についての情報収集を行った。 (3)同じ行政区内にあるGNCは別のコミュニティ・センター(Masbro Centre)を視察した。このセンターは、若者と杜会人の教育プログラムに重点をおいた活動を行っている。 (4)この他、2001年国勢調査資料や、2006年5月に行われた自治体の議会選挙結果などの資料(地方新聞記事など)をタウンホールや地方の図書館で収集した。2006年選挙では、H&Fバラにおいて長く政権をにぎってきた労働党が敗北、保守党が過半数を占めた。地域の住民層の変容(ジェントリフィケーション)を象徴する選挙結果となった。 以上の調査のうち、(1)に関しては、論文「ロンドン、ノッティングヒルにおける1960年代初めのコミュニティ活動の試み-あるメソジスト教会牧師とニュー・レフト活動家の取り組み」(西川2007)をまとめた。
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