研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、多様な人々が集まり移動する流動的な都市において、地域社会とは何か、そこでの家族や対面的な地縁関係を超えた、しかし、地域を基盤とした人と人とのつながり、住民の組織作り、地域コミュニティ形成の可能性を具体的な事例研究に基づき探ることである。ロンドン西部、ハマースミスの住宅地に1970年代に設立されたNPOのコミュニティ・センター、Grove Neighborhood Centre(以下GNCと記す)の活動に注目し、2004年〜07年の毎年8月に現地での調査を行い、センターの活動に関わりながら、関係者への取材と資料収集を続けてきた。調査地域は、かつてワーキングクラスが多数を占める住宅地であったが、1990年代以降、ジェントリフィケーションが急速に進み、現在ではミドルクラスが多数を占めている。住民構成が大きく変わり、新旧住民のあいだの経済的階層意識が複雑に交錯する。最終報告書では、GNCが設立された経緯、目的、地域におけるセンターの位置づけの変化を追い、GNCの活動(多目的スペースの提供、地域の人と情報をつなぐネットワークつくり、住民グループの活動、個々人への社会的支援)を紹介し、今日、GNCが直面する組織運営、財政基盤の危機的状況を明らかにした。そして、基盤となる特定の住民組織をもたず、権利獲得や反体制を唱える住民運動でもなく、コミュニティ・センターという物理的な空間とその運営が、地域の様々な住民グループや孤独な個人を受け入れつなぐ場所になりうるのか、GNCの実験的試みの厳しい現状と存続のための戦略、今後の活動の展開の可能性をまとめた。
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社会科学特集(甲南大学紀要文学編) 146
ページ: 39-67
Journal of Konan-University, : Social Science, Literature Edition 146
社会科学特集(甲南大学紀要文学編) 131
ページ: 79-108
Journal of Konan-University, : Social Science, Literature Edition 131
ページ: 79-101
http://kccn.konan-u.ac.jp/sociology/research/05/2_0.html
http://kccn.konan-u.ac.jp/sociology/research/05/en/index.html