3ヶ年計画で行われた本研究の最終年度において実施した研究は、以下の通りである。 1 関係文献・史料の購入・補充調査 (1)研究をまとめるために必要な関係文献を購入するとともに、国会図書館等を利用して関係史料の補充調査を行った。 (2)仙台藩雇用安定法制をまとめるために必要な史料の補充調査を、主として宮城県図書館等を利用して行った。 2 収集史料の分析・検討 (1)総論として、江戸時代の職業紹介事業の類型化を試み、I領主権力関与強・都市型、II領主権力関与弱・都市型、III領主権力関与強・農村型、IV領主権力関与弱・農村型の4類型を設定することが有効であることを確認でき、これを駆使して全国各地の職業紹介事業を分析した。 (2)各論として、江戸時代初期から末期にわたっで各種の職業紹介事業の存在を確認できる仙台藩についてくその歴史的展開を追究することによって雇用安定法制の実態を解明した。 3 得られた知見 (1)江戸時代前期には武家奉公人確保のための職業紹介事業が、領主それ自体の制度設計も含めて広範に展開したが、江戸時代後期には、農村奉公人確保を目指す職業紹介事業が重要となり、他領者を奉公人として引き入れるための業者が各地に現れた。 (2)同時に、江戸を初めとする都市部においては、武家奉公人のみならず各種家内奉公人の斡旋業者が組織化され、この職業紹介業者のあり方が明治期まで影響を及ぼした。 4 研究成果の公表 (1)研究成果を総括する「研究成果報告書」を作成した。 (2)研究成果の一部である論文「江戸時代の買戻しについて」を公表した。
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