本年度も、昨年度と同様に、ADRの実態調査の分析と並行して、理論的研究を行った。特に、法律家増員時代において各種ADRと法律家との連携、およびADR相互間の連携の必要性と可能性が高まっている状況を考慮して、法律相談機関と行政とのネットワーク化の可能性に関する検討を進めた。 また、いわゆるADR法の制定を機に各種の民間ADRが設立ないし制度改正を進めてきているが、本年度は特にADR法上の認証申請を見送っている民間ADR(純粋な民間調停機関や交通事故紛争処理センターなど)について、資料収集およびヒアリング調査を行った。 なお、法律相談についての実態調査も引き続き行い、弁護士会の法律相談の利用者を対象とした調査や検討会の開催を通じて、各種ADRの利用と弁護士による法律相談とがどのように連携し合っているかについて検討を進めた。 ADR法の下で、今後認証ADRと非認証ADRとが機能分化していく可能性があるため、今後ともこれまで蒐集したデータを基に、ADRの機能分析を継続していきたいと考えている。
|