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2004 年度 実績報告書

<大きな司法>に向けての法曹像の憲法学的再構築

研究課題

研究課題/領域番号 16530015
研究機関東北大学

研究代表者

山元 一  東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10222382)

キーワードフランス / 裁判 / 裁判官 / 法律 / 職業裁判官制度 / 職能団体
研究概要

本年度は,フランスにおける裁判権・法曹像の変容に関する基礎的研究を遂行した。とりわけ,フランスに伝統的な裁判官=「法を語る口」という像の歴史的形成・確立・変容過程を跡づけた。その結果以下のことが確認された。
1 フランス近代法の世界では,封建制社会の身分制秩序の支配するプレモダンの社会像に対応する,およそ近代国家の論理とは相容れないところの「裁判官職売買制度」というあり方が完全に克服され,革命期における裁判官選挙制という短いエピソードを経て,中間的諸団体を徹底的に--ということは,旧来の職能集団を形成していた法服貴族たる裁判官の諸特権も含めて--粉砕することを通じて,「法律=一般意思」「裁判=法的三段論法の適用」という図式,すなわち《裁判官=法律適用者モデル》が長きにわたって定着するようになった。このような図式は,政治体制の変容にもかかわらず,また恒常的に政治的任用に脅かされつつ保持されてきた職業裁判官制度という土台の下で定着したものであった。そして,強度に発達した国家機構を支える実体的組織体として根本的に再編された行政コオルや司法コオルは,それがまさに一体となって国家機構そのものを形づくる必須の構成部分であり,それらの二つのコオルは,国民代表たる議会によって見出された一般意思を忠実に具体化し適用するとされた存在である。
2 現在フランスで進行中の事態は,憲法・ヨーロッパ規範によって「法律」への信頼が根本的に揺さぶられるようになるに至ったことに対応して,国家機構内部の存在であるはずの司法コールの括動が誰の目にも明らかに劇的に活性化した。それに伴って,裁判官は,多かれ少なかれ国家に対する統制機関たる「第三の権力」としての役割を果たすことになることを通じて,歴史上はじめて「脱・国家のコオル・化」しつつある。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] 責任と統治の主体としての裁判官(2・完)2004

    • 著者名/発表者名
      山元 一
    • 雑誌名

      法学 68巻2号

      ページ: 1-27

  • [雑誌論文] 憲法解釈と比較法2004

    • 著者名/発表者名
      山元 一
    • 雑誌名

      公法研究 66号

      ページ: 105-117

  • [雑誌論文] 司法権-裁判員制度2004

    • 著者名/発表者名
      山元 一
    • 雑誌名

      法学セミナー 593号

      ページ: 28-30

  • [雑誌論文] 「コオルとしての司法」をめぐる一考察2004

    • 著者名/発表者名
      山元 一
    • 雑誌名

      〔樋口陽一先生古稀記念〕憲法論集(藤田=高橋編)(創文社)

      ページ: 251-285

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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