まず、本研究については、すでに予備的研究ともいうべき研究の一部を開始していたが、これらの整理と検討視角および対象の確定作業を行った。研究課題にかかわるその作業のとりまとめを兼ねて、とくに地方財政制度にかかわるいわゆる関与法定主義の憲法的評価が今年度の主要な研究となった。(2005年度に、勁草書房から出版される日本財政法学会の創立20周年記念の論文集に掲載する)。研究方法としては、「地方分権一括法」による地方自治制度改革全体の具体的展開の実像をまずは明確にすることであり、旧法との比較(歴史研究も含む)や、改正点の分析作業が中心になる。それなくして地方財政制度のあり方に直接関係する事務配分の憲法的評価や問題を発見する分析ができないからである。 次に、地方分権改革推進会議と地方制度調査会との間で軋轢が生じている地方への補助金の削減、地方交付税の縮小、税源移譲のいわゆる「三位一体改革」の具体的内容についての分析も本研究の存在理由にかかわるものとして分析・検討を行ったが、なお進行中のことでもあり、今年度はまとめるまでに至らなかった。来年度改革にかかわっては、地方公共団体や全国知事会でのヒアリング調査や資料収集も行った。 なお、「三位一体改革」のうち、税源移譲にかかわる検討課題として地方税改革がある。今年度はこの検討のために研究者数人との研究会を随時に開催し報告した。研究代表者は、自治課税権、租税条例主義および固定資産税についての検討成果(報告)を公表した(11.「研究発表」参照)。
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