研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的であった、多元主義・国家の中立性を憲法学・公法学の視点から複合的に探求するという点において、少なくとも文化領域、とりわけスポーツの領域での多元主義の実現方法としての地方分権の下での公的担い手の分散化、プロ・スポーツの商業化・国際化の中での人的交流の活発化によって展開されるヨーロッパ・ドイツの現状を分析すると共に、その資金補助のためのスポーツ振興クジの国家独占の違憲性をめぐる問題の検討を行った。文化振興という点で、国家は一定の文化領域に特化する.ことなく、また独占状態の中での資金集めという方法での一極化によらずに、民主的法治国家における多元主義社会の下での自由な個人の活動を援助・助成していく必要性が確認できることになる。さらに、グローバル化の中での日本の人権・基本権論が、いわば日本という国家の利益、そのための制度を中心にする実務との関係で、必ずしも憲法が予定する多元主義的な個人の価値観とは無関係なものとして展開されていること、さらに、近年、グローバル化の中での価値の多元主義化や憲法改正と共に提唱され始めた偏狭的なナショナリズムの問題を取り上げ、ドイツの政治学で主張され、社会学で展開されている憲法パトリオティズムの議論を考察することで、多元主義社会でのコンセンサスと価値観の多様性の調和を目指す議論の可能性を検討した。そして、個人の価値観の多様性の発現となる事例の一例として、ヨーロッパで最近特に議論される家族像の変容に伴う法的問題の一端に関するヨーロッパ人権裁判所の判例を検討し、個人の生活領域への国家による一定の家族像の押しつけ的法規制を人権上問題あるものとしてとらえる議論の可否を検討するに至っている。
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すべて 雑誌論文 (20件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)
ヨーロッパ人権裁判所の判例 (校正済み掲載確定)
ドイツの憲法判例III (投稿済み掲載確定)
公法研究 70号(投稿済み掲載確定)
Decisions of the Court of the European Human Rights
Decisions of the German Constistuional Court Vol. 3
Public Law Review Nr. 70
Jahrbuch des offentlichen Rechts der Gegenwart 55巻
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Hogaku-Seminar Nr. 604
Hogaku-Seminar Nr. 610
Hogaku-Seminar Nr. 611