本研究は、日本国憲法に相応しい行政法理論の構築を目指したものである。すなわち、伝統的な行政法理論は、明治憲法下の立憲君主制を前提にしたものであるが、それが未だに国民主権の日本国憲法の下で通用することはおかしいと考え、日本国憲法の基本原理である「法の支配」を基礎に新しい行政法理論の構築を目指したものである。 本研究の基本的視角であるデュー・プロセス論は、従来、憲法31条の適正手続ないし13条の幸福追求権の下で論じられてきており、いわば憲法学の分野で議論されてきたにすぎない。しかし、私は《デュー・プロセス論は行政法活動を貫く原理として機能すべきだ》との仮説をもっており、行政法の基本原理に組み込まれるべきものと考えている。もちろん、行政活動は法律に基づく必要があり、その意味で行政法は政策実現を目的としいている。また、行政は所定の制度を前提とするが、これもまた法律によって作られるという関係にあることを知らなければならない。 本年度は、一方で、その原点であるデュー・プロセスの概念を生み出したアメリカの論文の読破に勢力を注いできたが、他方、目下、制度的改変が行われている大学政策の中に具体的素材を見出したいと考えた。そして、「学問の自由と大学の自治」と題する論文の執筆に力をいれた。これは2005年度前半に大浜啓吉編『公共政策と法』(早稲田大学出版)に掲載する予定である。
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