研究概要 |
今年度は,第1に,環境団体訴訟と密接なかかわりを有する国内の市民参加の現状について,地方自治体の協働・参画条例に焦点を当てて包括的に調査・分析した。その結果,(1)協働・参画条例の数が急増していること,(2)NPOの登録制度を導入する条例が多いこと,(3)登録制殿主たる目的は支援(補助金等)対象の明確化にあり,諸外国のような参加権の強化という趣旨が弱いこと,などが明らかになった。他方,国レベルでは,自然公園法の改正,自然再生推進法の制定にみられるように,NPOを行政の協働主体として法的に位置づけ,アウトソーシングを推進しようとする傾向が認められる。 第2に,国内の環境NPOの現状について,その組織形態,会員数,予算規模,活動内容等の把握に努めた。その結果,(1)環境,まちづくり分野におけるNPO法人の数が着実に増加していること,(2)政策提案型の団体よりも,リサイクル,自然保護,環境教育等の分野で実践的な活動を行う団体が多いこと,などの知見が得られた。 第3に,重荷欧米のNPO及び関係行政機関のヒアリングを行うことにより,諸外国の環境団体訴訟の動向を分析した。その結果,(1)EUでは,環境以外の分野にも,団体訴訟が次々に導入されていること,(2)団体訴訟の導入が政策形成過程における市民参加の実効性を確保するとともに,違法行為の予防に大いに寄与していること,などが確認された。
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