研究課題/領域番号 |
16530037
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
野田 進 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (90144419)
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研究分担者 |
山下 昇 久留米大学, 法学部, 助教授 (60352118)
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キーワード | 中国労働法 / 比較法 / 労働契約法 / 市場経済 / グローバリゼーション / 日系企業 / ヒアリング調査 / 体系的分析 |
研究概要 |
本研究は、日本および中国の労働法研究者が、意見交換を通じた研究により、市場経済とグローバル化のただ中にある中国労働法の全体像について、体系的・総合的に解明することを目的としており、それらを通じて、日中両国の研究者の共同研究・共同執筆により中国労働法に関する体系書の執筆および出版を目的としている。 2年目にして最終年度にあたる平成17年度は、次の3つの方向で研究計画を推進した。 第1に、調査対象である中国労働法の動きについて追跡的なリサーチを継続した。特に、この国では「労働契約法」の制定がすでに法案として確定しており、立法間近である。この法律は中国労働法の現代的課題をより先鋭に描き出すものであり、本研究において有効な研究素材であることから、研究討議の上、暫定的な研究成果を発表した(研究発表欄参照)。 第2に、中国労働法の研究を、日中比較という視点から行う場合、中国において合弁または独資の形で展開している日系企業における、労働法・労使関係法上の問題に取り組むことが、重要な研究課題となる。それは、日本的といわれる我が国労働法の理念が、中国労働法の枠組みに衝突する場面であり、両国労働法の特異性と普遍性が試されることになるであろう。そこで、現地調査を挙行することとし、平成17年11月から同年12月2日にかけて、北京および天津において合計7社の日系企業において、人事・労働関係についてのヒアリング調査を行った。これについても、その後の研究会に基づき、暫定的な成果を発表している(研究発表欄参照) 第3に、共同研究・共同執筆の加速である。本研究では、研究会を通じて、日中の研究者が「中国労働法」を日本語で執筆するために、その体系をまとめ、さらに執筆分担を決定している。最終年度である本年度は、日中において各国レベルおよび両国共同の研究会を、ほぼ2カ月に1度に開催し、執筆活動に向けて、研究討議を重ねた。その結果として、相当の分量の第1草稿を得ており、これらをさらに検討して、平成18年夏には完成原稿を集約し、年内出版を予定している。 これらにより、中国労働法の現代的課題を比較法的視点から把握し、体系的な概説書の執筆を行うという、本研究の目的は完成しうるものと考えている。
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