本年度(初年度)は、日本における景品・懸賞付販売の実態を把握するために不可欠な調査に着手するとともに、法規制に関する基礎的な資料の整理を行い、考察の一部を論文とした。 1.全国に所在する消費者団体に対するアンケート調査(郵送)を行うこととし、(1)調査対象先の選定、(2)アンケート調査票の作成、(3)発送準備作業が行われた。(1)については、総理府の調査「消費者団体基本調査結果(平成13年度版)」を基にし、調査対象先の選定を行った。その結果、総理府データベースの4.681団体のうち、調査不能データを除き、合計2.758団体が対象として選定された。(2)については、消費者の景品・懸賞の購入経験、景品・懸賞付販売に対する意識・心理、法規制に関する認識、今後の規制のあり方(強化・維持・緩和・廃止)についての考え方を把握することを調査の主眼とした。さらに景品・懸賞付販売の規制法である景表法の役割、機能、意義についても把握する必要があることから、同法が定める表示規制についても質問事項を設け、日本における「景品表示行政」の制度と運用に係る問題の所在を確認する上で必要な設計を心がけた。(3)については、本年2月にゼミ学生を作業補助とし、発送作業を行った。 2.景品・懸賞付販売に対する規制枠組に関する基礎研究を行った。景表法の運用状況と問題に関する文献・資料に基づく調査を行い、アンケート調査票の設問への反映に努めた。自治体での活動が中心である消費者団体の活動において、景表法に関わる問題がどの程度取り上げられているか、また自治体においても、景品表示行政が消費者政策にどの程度のウエイトを占めており、国との権限配分・機能分担が行われているか、という景表法制度の基本枠組についての考察を行い、この考察の一部を、「自治体における消費者行政の展開と競争政策」(本年3月校了、後掲図書所収)と題する論文としてまとめた。
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