研究課題
基盤研究(C)
本研究は、日本における景品・懸賞付販売に対する規制のあり方について、消費者視点から考察を行うことを目的としたものである。研究成果のとりまとめは、平成16年度に実施した全国2794の消費者団体に対して行ったアンケート調査(897団体から回答)のデータ分析と、比較法的視点に基づく諸外国-特に、EC、ドイツ、アメリカーの法制度の調査を中心に行われた。前者は、既にアンケート項目毎の集計データを基に、日常の消費生活における景品・懸賞付販売およびオープン懸賞との関わり、購入または応募の頻度、景品・懸賞企画による対消費者の誘引効果、現行法による規制に対する消費者意識についての実態把握と分析が主体となっている。調査対象は、一般消費者に比べて、問題意識が高く専門的知見を有する消費者団体であるが、分析結果から、かかる対象者においても、取引の場面で景品・懸賞に誘引されている傾向が見られる点、また同時に圧倒的多数が景品・懸賞付販売に対する規制が今後も必要であると考えている点が明らかになったが、このような取引実態と規制に対する意識を踏まえた望ましい法規制のあり方を今後検討する必要がある。後者は、諸外国における景品・懸賞付販売に対する法規制の状況に目を向け、日本における法規制のあり方を検討する上での何らかの手がかりを得ようとするものであった。ここで明らかにされたことは、諸外国においては、「景品付販売」と「懸賞付販売」を区別して規制を行っている点、ほとんどの国において「懸賞付販売」は原則禁止されており、「景品付販売」についてはそれぞれの国ごとで規制が異なっている点であり、両者を区別せず、一定の価額以下では原則自由の日本の規制制度を再検討する重要な手がかりとなった。今後は、ほとんどの国で原則禁止されている「射倖心を利用する事業活動」に対する日本における規制のあり方について、競争法のみならず、多面的な観点から考察する予定である。
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すべて 雑誌論文 (9件)
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