研究課題/領域番号 |
16530043
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鯰越 溢弘 新潟大学, 大学院・実務法学研究科, 教授 (80037085)
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研究分担者 |
稲田 隆司 熊本大学, 法学部, 教授 (30284730)
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キーワード | 裁判員制度 / 公判前整理手続 / 証拠開示 / 弁護制度 / 検察制度 / 訴因制度 / 国際研究者交流 / イギリス |
研究概要 |
平成16年5月28日に「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(以下、「裁判員法」という)が公布され、公布の日から起算して5年を越えない範囲内において政令で定める日から施行されることとなった。戦後刑事司法改革の最大の課題であった「国民の司法参加」が遂に実現することとなったという意味において、「裁判員法」の成立は画期的なものであると評価できる。というのは、「裁判員制度」は、単に国民が司法に参加することになったというだけではなく、裁判の迅速化をもたらすのみならず、公判における口頭主義・直接主義の徹底化が図られるために、捜査手続・公判手続に与える影響は非常に大きいからである。語弊を恐れず言うならば、「裁判員制度」の導入は、戦後刑事司法改革において実現した当事者主義的刑事司法以上のインパクトを内包する大改革であるということができる。「裁判員法」の制定と時を同じくして「刑事訴訟法」改正が行われたのも、刑事訴訟法の改正なしには、裁判員裁判を円滑に行うことはできないことが明らかだったからである。この改正においては、被疑者国選弁護人制度の導入等幾つかの重要な改正が行われたが、公判前整理手続の新設は、裁判員裁判の帰趨を決すると言って過言ではない重要な改正であった。しかしながら、職業裁判官のみによる裁判制度に慣れ親しんできた法曹にとっては、「裁判員制度」の導入は、衝撃的な事件であり、多くの法曹は「裁判員裁判」についてのイメージすら理解していないのが実情である。そこで、平成16年度には、模擬裁判員裁判が実施されているが、旧来の裁判から脱却できてはいない。そのために、本年度の研究においては、「裁判員制度と国民の司法参加」が有する意義と課題を明らかにするために、弁護士を中心として意見交換を行った。また、従来の「国民の司法参加」を巡る議論を陪審制度との関係で整理した。 更に、この間、イタリア・スペイン・ロシア等において「国民の司法参加」が実現したが、その際に各国は、イギリスの陪審制度から多くの知見を得てきたし、イギリスの法曹もその制度化に助言を与えてきた。従って、イギリスのこの経験を調査するために、3月18日から28日にかけて調査に赴いた。
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