本研究は、市民レベルで行われている「生活のための制度を創る」試みをとりあげて、その実態を明らかにするとともに、その技法・その理念について検討を加えるものである。初年度は、関連文献の収集・分析とケーススタディのための現地調査を行った。その際の対象は、(1)育児(共同子育て)・(2)住居(新しいハウジング)・(3)環境(共用自転車)・(4)消費(地域通貨)としたが、それぞれにつき一定の情報を得ることができた。集中的な作業によって、予想以上の速度で研究が進展したため、その検討結果をまとめたレポートを『生活のための制度を創る-シビル・ロー・エンジニアリングにむけて』という表題で2005年3月末に公刊することができた。その後は、フォローアップの研究を続行し、計4編の論文を公刊した。昨年度は、次の研究課題(制度構想者としての年少者に焦点をあわせる)への架橋となる2論文(「民法4条をめぐる立法論的覚書」「としょかんライオン考」)を執筆した。
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