研究課題
基盤研究(C)
本研究では、近年の大改正を経た新しい倒産法制の下で倒産手続が契約に及ぼす影響を検討した。まず、倒産法改正により直接的影響を受ける各種の契約(賃貸借契約、請負契約等)の検討をした。改正により多くの問題が解決されたが、なお残る問題は少なくない。特に、賃料債権の処分等の効力をどこまで認めるべきかについて、実体法上の検討が必要である。次に、双方未履行双務契約について検討した。今回の改正では、基本的には従来の規律が維持されているが、今後、破産法53条の原則とその例外のあり方についてなお検討する必要がある。根底には、倒産法と平時実体法との関係、及び、倒産手続開始後の契約の帰趨(更に、債務不履行における契約と債権の関係)という大きな問題がある。また、重要な現実的課題である知的財産権ライセンス契約の適切な規律について検討した。ここには、契約上の地位の法的評価という理論的問題と、特許法における登録制度及び通常実施権制度のあり方という制度的問題がある。更に、当初の研究計画から発展する問題として、否認権と契約、及び、新信託法制の下での信託と倒産の関係についても検討した。前者では、新制度の下での否認権と詐害行為取消権との関係を検討し、平常時から倒産時に移る段階での契約のあり方を考察した。後者は、信託財産破産等の新しい法制度の検討をした。本研究により、新しい倒産法制の下での倒産法と契約法の主な問題点を分析することができた。その結果、実体法の検討がなお必要な問題が少なくなく、それらはいずれも基礎的な問題に関わるものであることが確認できた。根本的には、平時実体法における私的自治及び自由競争の尊重の理念と倒産手続における債権者平等及び衡平の理念との接合、並びに、平時実体法自体の規律の問題がある。倒産手続の効率性及び平時及び倒産時の実体法の社会的影響も考慮しなければならない。なお研究を進めていきたい。
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別冊ジュリスト184号倒産判例百選〔第4版〕 (刊行予定)
信託 226号
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Trust vol.226
NBL 801号
ページ: 11-24
新会社更生法の基本構造と平成16年改正(ジュリスト増刊)
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NBL vol.801
Jurist, the New Company Reorganization Act Special volume
ジュリスト 1273号
ページ: 57-66
Jurist vol.1273