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2004 年度 実績報告書

親権は果たして強いのか-家族に対する国家の介入の根拠とその基準

研究課題

研究課題/領域番号 16530053
研究種目

基盤研究(C)

研究機関山梨大学

研究代表者

山口 亮子  山梨大学, 教育人間科学部, 助教授 (50293444)

キーワード家族のプライバシー / ファミリープライバシー / 公的家族論 / 親権 / フェミニズム / 家族法 / アメリカ
研究概要

「法は家庭に入らず」の原則は、欧米ではローマ法からコモン・ローを通じて存在しているが、アメリカでは近代社会において法が整備されるなか、国家は様々な立法により家庭へ進入してきた。そこで、家庭に介入しようとする国家と、それに抗う家族との戦いがアメリカ連邦最高裁判所に現れ、国家から介入されない家族というプライバシーの領域が形成されてきた。
家族のプライバシーを尊重することは、親の子どもに対する権限に国家が介入しないことを意味する。親が子どもをどのように教育するかについて、親には国家に介入されない憲法上の権利があることを、連邦最高裁は歴代の判例において確認しているからである。しかし例えば、家庭のなかにおける女性の隷属、親による子の支配、あるいはドメスティック・バイオレンスや児童虐待の問題等、家族間における夫と妻、親と子の利益が衝突する場合、家族のプライバシーを尊重すると、女性や子どもの利益を守ることができない。従来の家族のプライバシー論では、これを解決するのに限界が生じるのである。また、連邦最高裁が認めるプライバシーを持つ「家族」とは一体何なのか。単身家族、拡大家族、再婚家族、同性愛家族等の伝統的ではない非核家族の登場により、「家族」の定義が揺らいでいる現代の特徴からも、この議論の限界を見ることができる。
そこで、家族のプライバシー論に代わるものとして、アメリカではフェミニズムを中心に、「公的家族論」が主張されている。それは、政治と家庭は異なる原理が適用されているのではなく、個人的な問題も政治的なことであるとする思想のもと、家族は本来法が支配しているものであり、国家の介入を語るのはナンセンスであるという議論である。この議論に従うと、国家が家族に介入しないということも、国家の政策となる。家族構成員の権利と利益を確保するためには、もはや国家の介入の排除を求める視点だけでは解決できないのである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 親の権利について-アメリカにおける家族のプライバシー議論からの一考察2005

    • 著者名/発表者名
      山口亮子
    • 雑誌名

      上智法学論集 48巻3・4号

  • [雑誌論文] 家族リプライバシーと国家と家族の関係2004

    • 著者名/発表者名
      山口亮子
    • 雑誌名

      山梨大学教育人間科学部紀要 6巻2号

      ページ: 208-217

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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