研究課題
基盤研究(C)
法が子どもを守りきれない今日の状況においてしばしば、日本では「親権が強い」からと言われる。しかし果たして日本民法の親権は強いのであろうか。本研究は日本民法の親権を考察するにあたり、アメリカ法を比較法として研究を行った。アメリカにおける近年の親子法の研究は、国家と家族と子どもとの三者関係を対象としている。従来国家の介入は制限されていたが、国家の不介入は子どもを守りきれないのではないかという批判から、家族を親と子どもの権利に解体し、国と親と子どもの三者関係で見ていくようになってきた。国家の介入に抗して主張されるアメリカの親の権利は強い。しかし、それに対抗する国家の介入も強いため、その両者の力のせめぎ合いにより均衡が図られている。親は子どもを保護するため、あるいは子どもの利益にかなうために強力な権力が与えられており、国家の介入も子どもの利益から正当化されるのであり、三者が存在しなければその均衡は生まれないのである。翻ってわが国を見た場合、国と親と子どもとの三者関係は均衡を保っているとは言えない。まず、親の権利は私法上のみで語られ、国家との関係で検討されることはない。そして子どもの利益あるいは子どもの権利を国家との関係で解明する研究も発展の途上にある。親権の強力性は旧民法の親権観念に基づくものであるが、親は常に国家側に立つのではなく、国家の支配に対抗する権利性があることを承認した上で親権を語っていくことが重要である。そして、親が子どもに対して不当な権利支配を行う場合に法(国)が親と対立して如何に介入を行っていくべきかが考慮されなければならない。親の子どもに対する権利性を否定するのみでは子どもの利益や子どもの権利は確保できない。親の不当な権利支配に国家がどのように介入しうるかという、親と国家との権利の拮抗関係において子どもの利益と権利を考察していくべきである。
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