研究課題
基盤研究(C)
本研究は、従来は概念法学的な分析がなされてきた債務超過会社の組織再編について、実務の必要性も踏まえながら、一段と実践的な理論の構築を目標とするものである。従来は、形式的な論理を追いかける傾向が強くかったが、本研究においては、比較法的な検討も踏まえて、より実質的な観点から、債務超過会社の組織再編の可否を検討すべきとの結論に至った。すなわち、利害関係人の利益が適正に守られる限り、債務超過会社の組織再編を否定する根拠は少ない。独立当事者間の組織再編であれば、当事会杜間で真蟄な交渉が行われるから、通常は利害関係人の利益が損なわれることはない。他方で、支配・従属会社間の組織再編であっても、支配会社が債務超過の従属会社を組織再編によって救済しようとする場面では、従属会杜を単独で評価すると債務超過であっても、支配会社との組織再編によって相乗効果が生まれることが期待できたり、支配会社が従属会社を救済せずに破綻させれば、自らの信用を落とすという損失が救済に必要な額を上回ったりするのが通常である。この点に関する経営陣の判断が適切でなけれぱ、取締役の責任を論じれば足りる。また、債務超過会社が関係する会社分割の可否は難題であるが、会社法の解釈として、「履行の見込み」が必要と解しつつも、「従前の履行の見込み」があれぱ足りると解することによって、会社債権者の利益を害することがなく、効率的な組織再編が行われるような解釈を示した。
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月刊監査役 524号
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Gekkan-kansayaku no. 524
新しい会社法制の理論と実務(別冊金融・商事判例)(川村正幸=布井千博編)
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租税研究 682号
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Masayuki Kawamura & Chihiro Nunoi (eds.), Theory and Practice in the New Corporate Law System (bessatsu-kinyu-shoji-hanrei)
Sozei-kenkyu no. 682
Corporate Law in Reading by Keywords (Michiyo Hamada (ed.)) (Yuhi-kaku) 2^<nd> ed.
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Corporate Law in Reading by Keywords (Michiyo Hamada (ed.)) (Yuhi-kaku)
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